(満濃町)
むかし、むかし、天の神様が「かやの実」に針をさしこんで、穴をあけ、天よりまきましたところ、その実が真野の村のある不動堂に落ちまして、それが芽を出し、どんどん成長して大木となったそうです。
そして、今から四百年ほど前、おうさか山とかやの大木の間を流れる川の「千年ぶち」あたりから、毎日のようにはげしく雷といなびかりがひらめき、山はゆれ動き、川は波しぶきを立てるようなことがありました。村の人々はとてもこわがって家の外にも出られなかったそうです。
そこで、この土地をおさめていた『朝倉権(あさくらごん)の守(かみ)』はそこへ行って、
「このようにおそろしく鳴り、かつ光るのは、いかなる神様のしわざでございますか?」
とたずねますと、一人のおじいさんが千年ぶちから姿を現し
「わたくしは、天竜である。かやの実が成長するのを楽しみにして天から降りてきましたが、ふちがせまくてすむことができなくてこまっておったのじゃ。」
とそのことばも言い終わらないうちに、白い竜になりました。そこで、権の守はもっと住みよいところへお連れしましょうといって、いろいろなところに案内しました。
ちょうどその頃、権の守が主さいする『七か村念仏おどり』が『たきの宮念仏おどり』に参加して帰っていたところでしたが、川に大水があふれ、おどりこたちが川をわたれず困っているところでどこからともなく、大牛があらわれ、おどりこたちを背中にのせて、だく流をわたらせてくれたのです。
その大牛は、きっと,さっきの竜の化身に違いないと人々は考えました。
それから何年もたち、このかやの大木も老木となりました。
木がかれて、いつたおれるかわからないきけんなじょうたいになりまして、昭和三十六年に木を切りました。しかし、あの竜神様をうやまい、むかしをしのぶためにも、その一枝を分けてもらって、新殿を作って、おまつりしました。ところが、このご神前に。ろうそくをともしますと、のぼり竜、降り竜がろうそくの中にあらわれるというふしぎなことが起こるようになったそうです。
お話の書きかえ 古市 えみ
参考文けん 『ぶらり讃岐の民話とむかし話』 |